伊東万喜(幕臣の妻)――1797(寛政9)年~1862(文久2)年
伊東万喜は美作(現在の岡山県)から江戸に出て、旗本の妻になりました。
17歳で江戸に出てから一度も故郷に戻ることはなく、両親にも会えませんでした。
両親にあてて詳細な手紙を送り続け、美作の母親がなくなった翌年、66歳で亡くなっています。
彼女のライフコースからは、江戸に親戚がいないことによる寂しさとともに、幕臣の生活の大変さが伝わってきます。
大場美佐、関口きくのふたりより37歳ほど年長で、明治維新を経験していませんが、幕臣の生活がわかる資料であり、武士階級の生活を広くとらえるためにとりあげました。