なりくん・なおくん

よりみち~\(^o^)/

水戸藩主・徳川斉昭と彦根藩主・井伊直弼。

可愛く呼ばせてもらうと、なりくん、なおくん。

名前の響きが似ていませんか。

ふたりの年齢差は15歳。

開国・将軍継嗣問題など意見を異にして争いましたが不思議に共通点があるようです。

幼名:敬三郎と鉄三郎

徳川斉昭の幼名は虎三郎のちに敬三郎。

井伊直弼の幼名は鉄之介のちに鉄三郎。

単純ですが幼名に「三郎」がついているところが同じ。

徳川斉昭は水戸藩第7代藩主の三男として生まれました。

水戸烈公(徳川斉昭)像 京都大学附属図書館

一般的には大名の次男、三男は養子に出ます。

斉昭は養子先が決まらず30歳まで部屋済みですごしていました。

第8代藩主であった兄に子がいれば藩主になることはできませんでした。

しかし、兄に子どもがいなかったため将軍家からの養子縁組がもちあがる中、後継者争いを制して第9代藩主になりました。

いっぽうの井伊直弼。

岩崎英重 著『桜田義挙録 : 維新前史. 月』
吉川弘文館, 1911 3版 国立国会図書館デジタルコレクションより

彦根藩第13代藩主の十四男でした。

鉄三郎ですが十四男です!

生まれたときに父が隠居しており藩主の地位につける立場ではありませんでした。

そのため自らを花の咲くことがない木に例えて名付けた「埋木舎うもれぎのや」に17歳から32歳までくらします。

その間、茶道、和歌、能など「ちゃかぽん」(茶・歌・鼓を叩く音のポン)と呼ばれるほどに熱心に励みます。

中でも茶道(石州流)は「一期一会」という言葉を残すほどに茶会での出会いを一生に一度と心得て熱心に取り組みました。

楽焼香合 井伊直弼作 彦根城博物館ホームページより

ところが、すでに後継者に決まっていた兄(第13代藩主の十一男)が亡くなります。

江戸に呼び出され第14代藩主(第13代藩主の三男)の養子になり正式に後継者に任命されます。

以後、江戸で世子として暮らすことになり「埋木舎」を離れます。

なりくん・なおくん、幼名に三郎がつき、将来自分が藩主になるという確証がないまま20代を過ごしたという点が共通。

積極的な藩政改革

徳川斉昭、井伊直弼ともに藩政改革に積極的で行動力があったようです。

徳川斉昭ー26年ぶりの藩主の水戸帰り

「こんどの殿様は義公さま(2代光圀)以来の名君だそうな」ともいえば「イヤ半きちがいの変人で、冷飯上りだけに殿さまというガラじゃないそうだ」ともいわれた。

山川菊栄、1991、『覚書 幕末の水戸藩』岩波書店:173

水戸では斉昭が藩主になり、うわさが飛び交います。

斉昭は、斉昭の父が文化6年数カ月滞在して以来26年ぶりで藩主として水戸に帰ります。

そのふるまいから親しみやすく、率直だととらえる者もいれば、殿さまらしくないと非難する者もいたようです。

財政再建のために質素倹約をすすめ、藩校「弘道館」を建設し広く身分を超えた人材育成を図ります。


一方、井伊直弼も藩主になってすぐに人事を刷新、領民に藩金を分配、彦根藩領を数年に渡って見分して歩くなどしています。

なりくん・なおくん、共に藩政改革に燃えていました。

優秀なブレイン

ふたりには共に優秀なブレインが存在していました。

徳川斉昭には藤田東湖。

藤田東湖 Wikipediaより

藤田東湖の父は古着屋から士分に取り立てられて水戸彰考館(大日本史編纂のための施設)総裁になった儒学者・藤田幽谷。

東湖は父の後をついで彰考館で編集につとめていました。

水戸藩主後継者問題が起きたときに許可を得ず江戸に馳せ参じるという積極的行動により斉昭の信任を得たようです。

安政2年10月2日(1855年11月11日)午後10時頃に起きた安政の大地震で亡くなってしまいます。

藤田東湖の著作は尊攘派に受け入れられ西郷隆盛、吉田松陰らに影響を与えたとされています。

井伊直弼には長野主膳しゅぜん。 

長野主膳 Wikipediaより

長野主膳は国学者で井伊直弼により彦根藩に士分としてとりたてられています。

井伊直弼の死後、彦根藩により斬首されます。

なりくん・なおくん、ふたりには絶大な信用を寄せる家臣がいました。

安政7年

ふたりは安政7年に亡くなっています。

この年、井伊直弼が水戸藩、薩摩藩士に暗殺されました。

44歳でした。

そして、徳川斉昭も心臓発作で亡くなります。

8月の満月の夜、月見の席で突然亡くなったそうです。

60歳でした。

幕府に影響力を持っていたふたりが同じ年に亡くなりました。

幕府のために

徳川斉昭と井伊直弼、方向は異なりますが幕府のために動いています。

なりくん・なおくん、ともに武士の世を信じていたと想像します。

幕藩体制に終りが来るとは考えていなかったのでは・・・。

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