布衣

武士社会

布衣(ほい)とは紋がなく地模様もない狩衣のことです。

旗本にとって江戸城内で行われる儀礼の場に布衣を着て出ることは立身出世の証とされました。

旗本とは幕臣のうち将軍に謁見できる御目見以上の者をいいます。

国立国会図書館 装束着用之図より

武士は身分により服装が異なりました。

布衣以上の役人は江戸城で行われる行事に諸大名とともに参加する資格を得ることができました。

辞令交付の際も通常は月番の老中が老中列座のなかで役職を申し渡すのですが、布衣以上の場合は江戸城中御黒書院で老中・若年寄り列座の中で将軍自らが申し渡しました。

また、布衣の役人が引退した場合、その息子は家格、家柄にかかわらず両番という幹部候補になりました。

さらに家禄が100俵以下の場合には100俵に加増されます。

旗本の世界はこのように布衣以上の役人とそれ以外で大きく待遇が異なっていたのです。

参考:

西沢淳男、2014、『代官の日常生活』講談社 33-34。

国立公文書館:旗本御家人

国立国会図書館:武家装束着用之図(2)

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